相続税評価額と実際に売れる価格の違い|まず匿名査定で時価を知る
相続で不動産を受け継ぐと、「相続税を計算するための価格」と「実際に売れる価格」は同じものだと思ってしまいがちです。
でも、この2つは別物です。
ここを混同すると、相続税の見積もりを誤ったり、遺産分割で不公平が生じたりすることがあります。
この記事では、不動産を扱う会社の立場から、相続税評価額と、匿名査定などでわかる時価(実勢価格)の違いを整理します。あわせて、相続の初期段階で匿名査定を使って概算の価値を把握しておくメリットもお伝えします。
なお、相続税の具体的な計算や申告は税理士の領域なので、この記事は違いを理解するための一般的な整理にとどめ、実際の判断は税理士にご相談いただく前提で読んでください。
結論:相続税の評価額と、実際に売れる価格(時価)は別物
まず押さえておきたいのは、不動産には目的によって複数の「価格」がある、ということです。相続税を計算するときに使う「相続税評価額」と、実際に市場で売れる「時価(実勢価格)」は、金額が異なります。
一般的に、相続税評価額は時価の8割程度とされ、時価より低めに出ることが多いです。ですから、「相続税評価額がこの金額だから、売ってもこのくらいだろう」と考えると、実際にはもっと高く売れる(または状況によっては安い)ということが起こり得ます。
逆に、匿名査定でわかる時価を見て「相続税もこのくらいかかる」と考えるのも正確ではありません。それぞれ別の目的の価格だからです。
不動産の3つの価格と、使う場面
相続に関わる不動産の価格には、主に3つあります。それぞれ使う場面が違います。
時価(実勢価格)— 遺産分割の話し合いで使う
実際に市場で売れる価格です。
相続人どうしで「誰が何をもらうか」を決める遺産分割の話し合いでは、この時価を基準にするのが一般的です。
時価には決まった計算式がなく、不動産会社の査定や、匿名査定でおおよその把握します。
相続税評価額 — 相続税の申告で使う
相続税を計算するための価格で、土地は主に「路線価方式」(国税庁が定める路線価をもとに計算)や「倍率方式」で求めます。
時価の8割程度が目安です。
建物は固定資産税評価額を使います。
この計算には補正や特例が絡んで複雑なので、税理士が扱う領域です。
固定資産税評価額 — 相続登記や固定資産税で使う
市町村が固定資産税を課税するために決める価格で、時価の7割程度が目安です。
相続した不動産の名義変更(相続登記)の際の登録免許税の計算などに使われます。
毎年届く固定資産税の課税明細書で確認できます。
なぜ、まず時価(実勢価格)を知っておくとよいのか
相続税評価は税理士に任せるとして、相続人自身がまず知っておきたいのは、時価(実勢価格)です。理由は2つあります。
1つは、遺産分割の話し合いのためです。
相続人どうしで分けるには、実際に売ればいくらかという時価が基準になります。
これを知らないと、公平に分けようがありません。
もう1つは、相続税の申告期限との関係です。相続税の申告・納付は、原則として相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。
この期限までに、相続財産の全体像を把握し、必要なら納税資金も準備しなければなりません。早い段階で不動産のおおよその価値を知っておくと、その後の手続きや資金の見通しが立てやすくなります。
この「まず時価の見当をつける」段階で、匿名査定が役立ちます。名前も連絡先も不要で、相続人それぞれが気軽に概算を調べられるからです。
相続税の申告期限は10ヶ月以内と意外に短いため、早い段階で不動産の時価を匿名査定で把握しておくと、手続き全体の見通しが立てやすくなります。名前や連絡先が不要な匿名査定なら、相続人それぞれが気軽に試せます。
匿名査定でできること、専門家に任せること
役割分担を整理しておきましょう。
匿名査定で自分でできるのは、時価(実勢価格)のおおよその把握です。
遺産分割の話し合いの土台として、まず相場観を持つのに向いています。
一方、相続税評価額の計算や相続税の申告は、路線価による補正や小規模宅地等の特例など専門的な判断が必要で、税理士の領域です。
評価を誤ると、相続税を払いすぎたり、逆に過少申告で後から問題になったりすることがあります。
ここは必ず税理士に相談してください。
この記事は、あくまで「価格には種類があり、目的で使い分ける」という一般的な理解のためのものです。
相続税評価額の計算・申告は、補正や特例が絡む専門的な作業です。
誤った評価は払いすぎや過少申告につながるリスクがあります。
必ず税理士にご相談ください。
具体例で見る、3つの価格の違い
相続税評価額と時価がどれくらい違うのか、具体的な数字で見てみましょう。都市部にある土地付きの一戸建てを相続したケースです。
同じ不動産でも、価格が3つある
たとえば、実際に売れば3,000万円になる(時価3,000万円)不動産があったとします。この不動産の相続税評価額は、時価の8割程度が目安なので、およそ2,400万円になります。
さらに、相続登記や固定資産税で使う固定資産税評価額は、時価の7割程度が目安で、およそ2,100万円。同じ不動産なのに、3,000万円・2,400万円・2,100万円と、目的によって3つの価格があるわけです。
混同するとどうなるか
もし「相続税評価額が2,400万円だから、売っても2,400万円くらいだろう」と考えて売却を進めると、実際には3,000万円で売れる可能性を見逃してしまいます。
逆に、匿名査定で出た時価3,000万円を見て「相続税もこの金額を基準にかかる」と考えるのも誤りです。
相続税は2,400万円の評価額を基準に計算するからです。
それぞれが別の目的の価格だと理解しておくことが、判断ミスを防ぎます。
遺産分割では時価を基準に
相続人で分けるときは、実際に売れる価格である時価3,000万円を基準にするのが一般的です。
「相続税評価額の2,400万円で分ければいい」と思いがちですが、それだと実際の価値より低く分けることになり、不公平が生じかねません。
だからこそ、まず時価を匿名査定で把握しておくことが、公平な遺産分割の土台になるのです。
遺産分割では「相続税評価額」ではなく「時価(実勢価格)」を基準にするのが一般的です。評価額が低いからといってその金額で分けると、実際の価値との差が生じ、相続人間で不公平になるケースがあります。
よくある質問
匿名査定でわかる金額で、相続税を計算できますか
できません。
匿名査定でわかるのは時価(実勢価格)で、相続税は路線価などをもとにした相続税評価額で計算します。
両者は別物なので、相続税の計算は税理士にご相談ください。
相続税評価額と実際に売れる価格、どちらが高いですか
一般的には、相続税評価額(時価の8割程度が目安)より、実際に売れる時価の方が高いことが多いです。ただし物件によって異なるため、時価は査定で確認するのが確実です。
遺産分割ではどの価格を使いますか
遺産分割の話し合いでは、実際に売れる価格である時価(実勢価格)を基準にするのが一般的です。相続人全員が合意すれば他の評価額を使うこともありますが、まずは時価を把握しておくとよいでしょう。
相続税の申告はいつまでですか
原則として、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限までに申告・納付が必要なので、早めに不動産の価値を把握し、税理士に相談して準備を進めるのが安心です。
まとめ
相続に関わる不動産の価格には、遺産分割で使う「時価(実勢価格)」、相続税の申告で使う「相続税評価額」、相続登記などで使う「固定資産税評価額」があり、それぞれ別物です。相続税評価額は時価の8割程度が目安で、実際に売れる価格とは異なります。
相続人自身がまず知っておきたいのは時価で、これは匿名査定でおおよその把握できます。
遺産分割の土台として、また相続税の申告期限(10ヶ月)に向けた準備として、早めに価値の見当をつけておくと安心です。
相続税評価額の計算や申告は、複雑で専門的な判断が必要なので、必ず税理士にご相談ください。
まずは、実際に売れる価格の見当をつけるところから、匿名査定で気軽に始めてみてください。
