投資用マンションの査定と相場|収益還元法と利回りの見方
投資用のワンルームマンションや、人に貸しているマンションを売ろうと思ったとき、「自分で住むマンションとは相場の考え方が違うの?
」と迷う方は多いです。
実は、投資用マンションは、居住用とはまったく別の「収益」という軸で価値が決まります。
ここを理解しないと、相場を見誤ります。
この記事では、不動産を扱う会社の立場から、投資用マンションの相場の考え方(収益還元法)と、利回りの見方、相場を調べる方法を解説します。居住用マンションとの違いを押さえて、投資用ならではの価値の読み方がわかるように整理しました。
結論:投資用マンションは「収益」から価格が決まる
先に結論をお伝えすると、投資用マンションの価値は、「その物件がどれだけ家賃収入を生むか(収益)」から決まります。居住用マンションのように「住み心地」や「似た部屋の成約事例」で決まるのとは、根本的に軸が違います。
買い手が投資家なので、彼らが見るのは「この価格で買って、家賃でどれだけ回収できるか(利回り)」です。
だから、同じマンションの同じ広さの部屋でも、家賃をいくらで貸せているかによって、価値が変わります。
まず、この「収益で決まる」という発想を押さえることが出発点です。
収益還元法とは|家賃から価格を逆算する
投資用マンションの価格の考え方を「収益還元法」といいます。仕組みを見てみましょう。
収益還元法は、年間の家賃収入を、還元利回り(その物件に投資家が期待する利回り)で割って、価格を逆算する方法です。式にすると「価格=年間家賃収入÷還元利回り」です。
たとえば、年間の家賃収入が120万円で、そのエリアの還元利回りが5%(0.05)なら、「120万円÷0.05=2,400万円」が価格の目安になります。
家賃が高く取れる物件ほど、また期待利回りが低い(人気で安定した)エリアほど、価格は高くなります。この考え方が、投資用マンションの査定のベースです。
収益還元法の計算式は「価格=年間家賃収入÷還元利回り」。
家賃が高いほど、また還元利回りが低いエリアほど、物件価格は高く算出されます。
まずこの公式を頭に入れておきましょう。
利回りには「表面」と「実質」がある
投資用マンションを理解するうえで欠かせないのが「利回り」です。利回りには主に2種類あり、混同しないことが大切です。
表面利回り
表面利回りは、諸経費を考えない、ざっくりした利回りです。
式は「年間家賃収入÷物件価格×100」。
物件広告に載っているのは、たいていこの表面利回りです。
計算がシンプルで、大まかな比較に使えますが、実際の手取りは反映していません。
実質利回り
実質利回りは、管理費・修繕積立金・固定資産税などの諸経費を差し引いた、実態に近い利回りです。
式は「(年間家賃収入−年間諸経費)÷物件価格×100」。
手取りの収益力がわかるので、投資判断にはこちらが重要です。
表面利回りが高く見えても、実質利回りは低い、ということがある点に注意が必要です。
特に中古マンションは、管理費や修繕積立金が値上がりして、手取りが減っていることがあります。
売るときも買うときも、実質利回りで実態をつかむことが大切です。
居住用マンションとの査定の違い
投資用マンションの査定は、居住用とどう違うのか、整理しておきましょう。
居住用マンションは、駅距離・広さ・室内の状態・眺望・リフォームの有無といった「住み心地」に関わる要素と、似た部屋の成約事例で査定されます。一方、投資用マンションは、それに加えて「今いくらで貸せているか(家賃)」「入居者が入っているか(入居状況)」「管理状態は安定しているか」といった、投資家目線の要素が価値を左右します。
特に、入居者が入っている状態で売る「オーナーチェンジ」物件では、その家賃条件がそのまま買主に引き継がれるので、家賃設定が価格に直結します。
空室が多いと、収益が見込めないため査定額が下がります。
この「収益を生んでいるか」という視点が、投資用ならではです。
投資用マンションの相場を調べる方法
投資用マンションの相場を、自分で調べる方法を紹介します。2つの軸で見るのがコツです。
収益から逆算する
まず、自分の物件の年間家賃収入を、そのエリアの投資用マンションの利回り相場で割って、収益還元法で価格の目安を出します。エリアの利回り相場は、投資用物件のポータルサイトなどで、似た条件の物件の表面利回りを見ると、おおよその見当がつきます。
成約事例と突き合わせる
次に、レインズマーケットインフォメーションなどで、似た条件(エリア・広さ・築年数)のマンションの成約価格も見ます。
投資用マンションの査定でも、収益還元法とあわせて、この取引事例比較法が参考にされます。
両方を突き合わせると、相場が立体的に見えてきます。
匿名査定も出発点になる
匿名査定でも概算をつかめます。
ただし、匿名査定は物件情報から機械的に出すため、家賃条件や入居状況までは反映しきれないことがあります。
あくまで出発点として使い、収益の視点で補うのがおすすめです。
投資用に対応した匿名査定サービスもあります。
相場調査は「収益還元法で目安を出す」+「成約事例と突き合わせる」の2軸で行うのがベストです。匿名査定は手軽ですが、家賃条件・入居状況が反映されにくいため、あくまで出発点として活用しましょう。
具体例で見る、収益還元法と利回りの計算
投資用マンションの価格計算を、具体例で見てみましょう。都心のワンルームを売るケースです。
収益還元法で価格の目安を出す
たとえば、月8万円で貸しているワンルームなら、年間家賃収入は96万円です。そのエリアの投資用ワンルームの利回り相場が4%(0.04)だとすると、「96万円÷0.04=2,400万円」が価格の目安になります。
もし利回り相場が5%なら「96万円÷0.05=1,920万円」と、利回りが変わるだけで価格が大きく動くことがわかります。
表面利回りと実質利回りの差を見る
この物件を2,400万円で考えると、表面利回りは「96万円÷2,400万円×100=4%」です。
一方、管理費・修繕積立金・固定資産税などの諸経費が年20万円かかるとすると、実質利回りは「(96万円−20万円)÷2,400万円×100=約3.2%」。
表面では4%でも、実質は3.2%まで下がります。
この差を見ておかないと、収益力を見誤ります。
家賃が下がると価値も下がる
注意したいのが、家賃が下がると物件価値も下がる点です。
もし空室が続いて家賃を月7万円に下げると、年間家賃は84万円。
利回り4%なら価格の目安は「84万円÷0.04=2,100万円」と、300万円下がります。
投資用マンションは、家賃を維持できるかが価値に直結するのです。
よくある質問
投資用マンションの価値はどう決まりますか
「その物件がどれだけ家賃収入を生むか」から決まります。
年間家賃収入を還元利回りで割って価格を逆算する「収益還元法」が基本です。
居住用の「住み心地」や「似た部屋の事例」とは別の軸で価値が決まります。
表面利回りと実質利回り、どちらを見ればいいですか
実態をつかむには実質利回りが重要です。
表面利回りは諸経費を考えないざっくりした数字で、広告に載っているのはこちらが多いです。
管理費や修繕積立金を引いた実質利回りで、本当の収益力を確認してください。
入居者がいる状態でも売れますか
売れます。
入居者がいる状態で売ることを「オーナーチェンジ」といい、家賃条件がそのまま買主に引き継がれます。
むしろ、安定した家賃収入がある物件は、投資家にとって魅力的なこともあります。
投資用マンションの相場を自分で調べるには
収益還元法(年間家賃収入÷利回り相場)で目安を出し、レインズマーケットインフォメーションで似た条件の成約価格も見て、突き合わせます。匿名査定も出発点になりますが、家賃条件は反映されにくいので、収益の視点で補ってください。
まとめ
投資用マンションは、居住用とは違い、「その物件がどれだけ家賃収入を生むか」という収益から価値が決まります。
基本は、年間家賃収入を還元利回りで割って価格を逆算する「収益還元法」です。
利回りには表面利回りと実質利回りがあり、実態をつかむには実質利回りが重要です。
匿名査定も出発点になりますが、家賃条件や入居状況は反映されにくいので、収益の視点で補ってください。投資用は居住用と査定の軸が違う、と覚えておきましょう。
まずは、あなたの投資用マンションの相場を、匿名査定と収益の視点で調べてみてください。
