匿名査定の後、実際に売るときの流れと会社の選び方
匿名査定で相場をつかんだあと、「じゃあ実際に売るには何をすればいいの?
」という段階でつまずく人は多いものです。
匿名査定はゴールではなく、売却の入り口。
ここから先は連絡先を出して不動産会社と進めていきます。この記事では、匿名査定の後に始まる売却の全体の流れと、失敗しない会社の選び方を、時系列でわかりやすく整理します。
まず全体像:匿名査定から引き渡しまで
売却全体にかかる期間は、動き出してから引き渡しまで、おおむね半年前後が目安です。内訳は、査定〜媒介契約までに数週間〜1か月、売却活動に約3か月、契約から引き渡しに1〜2か月というのが一般的な組み立てです。
| 段階 | やること | 目安期間 |
|---|---|---|
| 0.相場把握 | 匿名査定で概算を知る | 即時 |
| 1.訪問査定 | 会社に現地を見てもらう | 1〜2週間 |
| 2.媒介契約 | 依頼する会社を決める | 数日 |
| 3.売却活動 | 広告・内覧対応 | 約3か月 |
| 4.売買契約 | 買主と契約・手付金受領 | 申込後1〜2週間 |
| 5.決済・引き渡し | 残代金受領・登記・鍵引き渡し | 契約後1〜2か月 |
匿名査定は「0.相場把握」にあたります。ここで得た概算は、この先ずっと「提示された数字が妥当かを疑うものさし」として役立ちます。
ステップ1:訪問査定で精度を上げる
売ると決めたら、まず不動産会社に現地を見てもらう訪問査定を依頼します。
匿名査定はデータだけの概算でしたが、訪問査定では室内の状態・日当たり・リフォーム履歴・周辺環境まで確認するため、精度が大きく上がります。
ここで初めて連絡先を出すことになります。
訪問査定は「会社を選ぶ場」でもあります。
査定額の高さだけでなく、その根拠を説明できるか、販売戦略が具体的か、担当者の対応は信頼できるかを見比べてください。
複数社に依頼して比較するのが基本です。
訪問査定は単なる価格確認の場ではなく、依頼する会社を選ぶための面接でもあります。複数社を比較し、査定額の根拠・販売戦略・担当者の誠実さを総合的に判断しましょう。
注意:高すぎる査定額に飛びつかない
査定額はあくまで「売れる見込みの予測値」で、その価格で売れる保証ではありません。媒介契約をとるために相場より高い数字を出す会社もあります。
匿名査定で得た概算と大きくかけ離れて高い査定は、根拠を必ず確かめましょう。高すぎる価格で売り出すと結局売れ残り、値下げを繰り返す羽目になりがちです。
ステップ2:媒介契約を結ぶ(3種類の違い)
依頼する会社が決まったら媒介契約を結びます。
宅地建物取引業法で定められた契約で、3種類あります。
どれを選ぶかで売り方が変わるため、特徴を押さえておきましょう。
| 種類 | 依頼できる会社数 | 自己発見取引 | 報告義務 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介 | 複数社 | 可 | なし |
| 専任媒介 | 1社 | 可 | 2週に1回以上 |
| 専属専任媒介 | 1社 | 不可 | 1週に1回以上 |
選び方の目安は、スピード重視なら専任・専属専任、価格重視で人気エリアなら一般、と考えると分かりやすいです。
1社に絞る専任系は会社が広告費をかけて熱心に動いてくれやすく、報告義務があるため進捗も見えます。
複数社に任せる一般は各社の優先度が下がりやすい反面、需要の高い物件では競わせて好条件を引き出せることがあります。
ステップ3:売却活動と内覧
媒介契約を結ぶと、会社がレインズ(不動産会社間の情報ネットワーク)やポータルサイト、チラシなどで買主を探します。ここで売主がすべき最大の仕事が内覧対応です。
内覧は買主の購入意欲を大きく左右します。
第一印象で売れ行きが決まると言っても過言ではありません。
居住中でも掃除を整えて出迎えることが成約につながります。
具体例で見る:売り出し価格の考え方
例えば匿名査定で3,000万円、訪問査定で3,100万円という数字が出たとします。売り出し価格は売主が自由に決められますが、極端に高くすると問い合わせが来ず、極端に安いと損をします。
相場を意識しつつ、値引き交渉の余地を少し乗せて売り出し、反響を見ながら調整するのが現実的です。3か月動いて反響が乏しければ、価格やアピール方法の見直しを検討します。
ステップ4〜5:売買契約から決済・引き渡し
買主から購入申込(買付)が入り、価格や引き渡し時期の条件がまとまると売買契約を結びます。契約時に手付金を受け取り、買主が住宅ローンを使う場合はここから本審査に進みます。
契約から1〜2か月後に決済・引き渡しです。
決済当日は、残代金の受領と同時に所有権移転登記を行い、鍵を引き渡します。
登記手続きは司法書士が代行するのが一般的で、抵当権が付いている場合は抹消手続きも同時に行います。
固定資産税や管理費の精算もこのタイミングです。
売主は必要書類(登記済証・権利証など)を漏れなく準備しておきます。
売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年に確定申告が必要です。
会社選びで失敗しないための3つの視点
売却の成否は会社選びで大きく変わります。査定額だけで選ばず、次の3点を比較してください。
査定額の根拠
なぜその価格になるのか、成約事例を示して説明できるか。数字だけ高くて根拠が薄い会社は避ける。
販売戦略の具体性
どんな媒体でどう売るか、ターゲットは誰か、期間の目安はどれくらいか。
担当者の対応
連絡の速さ、質問への誠実さ、こちらの事情(住み替え・相続・離婚など)を汲んでくれるか。
売却へ進むときの注意
訪問査定を複数社に依頼する際、一括査定サイトを使うと便利ですが、氏名・電話番号の入力後に複数社から連絡が来ます。離婚で同居中の場合は、郵送物や電話で相手に売却の動きを気づかれる恐れがあります。
連絡が来ても支障のない状況・タイミングになってから使うのが安全です。急がないなら、匿名査定で相場を握ったまま、心の準備ができるまで待つ選択もあります。
よくある質問
匿名査定の数字のまま売り出していい?
おすすめしません。
匿名査定は現地を見ていない概算です。
売り出し価格は、現地を見た訪問査定の結果と相場をふまえて決めます。
匿名査定の数字は「訪問査定が妥当かを確かめるものさし」として使ってください。
売却にはどのくらい期間がかかる?
動き出してから引き渡しまで半年前後が目安です。
売却活動だけで約3か月、契約から引き渡しに1〜2か月かかります。
買主が見つからなければさらに長引くこともあるため、住み替えやローン清算の予定がある人は余裕を持った計画を。
媒介契約はどれを選べばいい?
早く確実に売りたいなら専任・専属専任、人気エリアで少しでも高く売りたいなら一般が向きます。迷う場合は、進捗報告があり広告に力を入れてもらいやすい専任媒介が無難な選択肢です。
売却にはどんな費用がかかる?
主な費用は仲介手数料・印紙税・登記費用などです。
仲介手数料は売買価格の3%+6万円+消費税が上限の目安。
例えば3,000万円で売れた場合、上限はおよそ105万円+消費税です。
ほかに抵当権抹消の登記費用、住み替えなら引っ越し代もかかります。手取りは売却価格からこれらを差し引いた額になるため、匿名査定の概算から費用を引いて「実際に残る額」を早めに見積もっておくと計画が立てやすくなります。
具体例で見る:半年間のスケジュール
4月に売却を決めた場合の一例です。
この間、内覧希望はいつ入るか分からないため、売却活動中は部屋を整えた状態を保っておく必要があります。
住み替えで新居の購入と並行する場合は、売り先行なら資金計画が立てやすい代わりに仮住まいが要る、買い先行なら二重ローンのリスクがある、といった兼ね合いも出てきます。
全体像を早めに描いておくと、慌てずに一つずつ進められます。
まとめ
匿名査定はあくまで入り口です。
相場をつかんだら、まずは訪問査定で精度を上げて信頼できる会社を選ぶこと——ここから売却は動き始めます。
焦らず、概算をものさしにしながら次の一歩を踏み出してみてください。
